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放課後にて 15
靴を履き替え、校門へ向かって歩き始めてしばらく、あと数歩歩けば学校から出られるのだが、そう簡単に今日は終わらなかった。
「「待っていたよ、二人共」」
「……なんで今日は帰れないんですか」
「この声、春と秋ね」
突如聞こえてきた立体音響に、涼音はげんなり、涼香は楽しそうだった。
声の主は涼香の言う通り、馬場春と馬場秋の双子姉妹だった。
「「今日は二人に用があってさ」」
「えー……」
「いいわよ。行ってあげようではないの」
「えー」
どうせこうなるだろうと思っていたけど、面倒なのは面倒なのだ。
涼香が行くと言えば、涼音には行かないという選択肢は無い。もう今日の会話は全部涼香に任せようかなと、涼音はなにも喋らないという強い意志を持って臨む。
「「そういうと思ってたよ! ……涼音ちゃんごめんね」」
「いえ……別に大丈夫ですから。じゃああたしは黙ってるんで、あとは任せますね」
春と秋は同時に申し訳なさそうに、泣きそうな顔をして手を合わせるのだった。




