家事炊事部にて 6
「他にはなにを体験できるのかしら」
涼音のお腹に頭をぐりぐりしながら涼香が聞く。
「掃除ですね。掃除機を使っての」
「あー、それはダメですね。窓ガラス割れます」
美波の言葉に涼音が返す。
洗濯物みたいに、柔らかい布製品を扱うものなら、万が一涼香がやらかしてもどうにでもなる。
しかし、掃除機のような機械類などを涼香に扱わせるとなにをしでかすか分からない。
「そうなると……今日はもうありませんね」
その言葉を聞いて、涼香は涼音のお腹に頭をぐりぐりしながら足もばたばたする。
せっかく面白くなってきたところなのに、もうその楽しみは無いのかと。
涼香の不満を受けても涼音にはどうしようもなく、されるがままになるしかない。
「見学だけならできますけど……?」
「いや、なんか邪魔しそうなんで帰りますね」
いてもすることが無いし、涼香がやらかすかもしれない。それなら、今日は帰った方がいい。
千春と漣はなにやら二人で楽しそうにしている。
「じゃあ、あたし達帰るんで。ありがとうございました――ほら先輩、行きますよ」
「また来るわ!」
「はーい」
美波は手を振ってくれ、千春と漣も手を挙げて挨拶してくれる。
そうして、家事炊事部から出た涼香と涼音。
もう今日はこれ以上無いだろうなと、大人しく帰ろうとするのだった




