家事炊事部にて 3
「邪魔するぜ」
「邪魔するんだったら帰って」
「はいよーって用があるから――」
「千春さんの場合は用が無くても来るじゃないですか」
「確かに!」
四人がくつろいでいると、やはり唐突にやって来た千春。
「千春ではないの。千秋はどうしたの?」
「千秋は置いてきた」
そう言いながら、ずかずかと中に入ってくる。ちなみに手洗いやうがいをしていない。
「帰ってきたら手洗いとうがいが先ですよ」
「おっといけない」
美波にたしなめられ、素直に手洗いとうがいをする千春。
そして、五人に増えた家事炊事部の部室。集まったが、特にやることは無い。
「この部活ってやることない時どうしてるんですか?」
涼音が、抱きつこうとしてくる涼香を押さえながら聞く。
「涼音、家事炊事に終わりは無いわよ」
「涼香さんの言う通り、この時間は夕食の準備をする時間なんです。けどまあ……部活動なので、そこは省いてます」
「休日に部活すれば、昼食と夕食を使ったりはするけどね」
「へー、なるほど」
「ちなみに文化祭では、家事体験をします」
「これが結構評判いいんだよね」
「花嫁修業ってやつだね」
家事炊事を体験、将来を見越して涼香にもやってほしいと思った涼音だったが、恐らく備品が無事で済まないだろうなと思い直す。
この先、涼香を養うにはどうすればいいのか。このままだと、涼香は働かず家事もせずと、ただの穀潰しになりかねない。いくら見た目は良くても、人としてどうかと思うのだ。
「先輩……体験させてもらったらいいんじゃないんですか?」




