家事炊事部にて
「来たわよ!」
「お邪魔しまーす」
いつもの感じで、教室の中に入った涼香と涼音。
「おかえりー。暑かったでしょ?」
そんな二人を迎えたのは、家みたいな内装の教室だった。
そこに寝転びながらお菓子を食べている漣が、入ってきた涼香と涼音を迎える。
「……家事炊事部ってこういうことですか」
部屋の中、片隅には畳み終えた洗濯物、シンクには洗った食器の水が切られており、炊飯器からは蒸気が吹き出している。
「涼音、まず手荒いとうがいよ」
そんな家事炊事部の活動内容を理解した涼音の背中を押して手荒いとうがいをさせる。
それらを終えた二人は寝転んでいる漣の下へと向かう。しっかりとサンダルは脱いでいる。
教室感を全く感じさせない部屋は、非日常感を漂わせている。
「もう美波ちゃんも戻ると思うよ」
「美波ちゃんは……お風呂洗いかしら?」
「お風呂もあるんですか……⁉」
「うん。入れるよ」
そう言って、漣は部屋の壁を指さす。最初は分からなかったが、そこはドアになっていた。
「家じゃないですか」
完全に家だ。
この部屋に続くドアこそ、学校の教室のドアだが、それ以外はただの家だ。
シンクも冷蔵庫も流し台もある。そして風呂やトイレもあるという。
「トイレがいっぱいの時、この部屋のトイレ使えるから便利というか余裕が生まれる」
「隠れ名スポットよ」
漣に続き、涼香も得意げな表情であった。




