放課後にて 13
「コンタクトレンズを見つけていただき、誠にありがとうございました」
コンタクトレンズを見つけた涼香は、持ち主の波木漣に呼び出され、違うクラスまでやってきていた。
大学デビューのスタートダッシュをと、眼鏡からコンタクトレンズに変更したらしく、ただそのコンタクトレンズはハードで目に合わず落としてしまったらしい。
「変な感じするけど、そのうち慣れるっ聞いたんだけど……ダメだったみたい」
今はいつも通りの眼鏡姿の漣が項垂れる。
「ハードレンズはそうよね。ソフトなら、ランニングコストはかかるけど異物感は感じないと思うわよ」
「涼香から知性を感じる……」
「先輩コンタクトしたこと無いじゃないですか……」
「涼音が可愛いのがいけないのよ」
「いつも通りだ――じゃなくて、これからお礼をしたくてね、時間があるなら今からうちの部活に来てほしいの」
「別にいいわよ、帰ろうかと思っていたところだし」
「先輩が行くなら行きますよ」
「じゃあ決まり! 先に行ってるから!」
そう言って、荷物を持った漣は教室からパタパタと出ていった。
「波木先輩って何部なんですか?」
待っていると言われても、涼音は漣の部活を把握していない。色々と覚えきれないのだ。
しかし涼香は全て覚えているのだ。
馬鹿と天才は紙一重とはよく言ったものである。
「家事炊事部よ」




