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放課後にて 12
「暇になりましたね」
「そろそろ帰りましょうか」
とりあえず淳子を保健室へ運び、いなくなった千春と千秋を探すのも面倒だし、もうそろそろいい時間だしで帰ろうかと、荷物を取りに三階へ上がると、そこでは数人の三年生達が廊下に伏せていた。
「……奇妙な光景ね」
「あ、先輩。動かないでください」
それがなんなのかを察した涼音が、涼香に動くなと言う。
「あなた達、なにをしているの?」
止まりながらも、涼香は同級生達に声をかける。
「漣がコンタクト落としたらしいの」
「あら、そうなの? そこにあるのがそうではないの?」
状況を聞いた涼香がすぐさま廊下のある部分を指さす。
「はい? どこ?」
「そこよ、梨々の右足の三センチ後方」
「え、あたし⁉」「動かないで‼」
「あった!」「うそぅ⁉」
「…………なんで分かるんですか」
そんなこんなで、落としたコンタクトを恐るべき速さで見つけ出した涼香であった。




