ガーデニング部にて 2
和を求めると、和とはかけ離れたモノが来るのである。
「オウ! チハルじゃないですカ!」
「私は和を求めたはずだぜ」
「ヨーロッパですね」
ヨーロッパ部の淳子がなぜかやって来ていた。
淳子は千春にハグを求めたが、それを避けられると標的を涼音に変更。
「スズネー!」
涼音も慌てて避ける。
わちゃわちゃしている三人とは反対に、花壇をいじっている涼香と千秋の間に漂う空気は重いものだった。
「……見事ね」
「ごめんなさい」
「いいわよ。それ、壊れかけだったし」
「最期の引き金を引いたのが私ということね」
二人の目の前には、花壇を華やかにする陶器の人形が無惨に散っていた。
花の間に置いてあったそれを、千秋が涼香の前に移動させたのだ。
目の前に置き、千秋が目を離した隙になにかが割れる音がした。
なにが起きたのか全く分からないが、涼香のリアクションから察するに割ったのだろう。
元々実験のため、ヒビが入りいつ割れてもおかしくない物を使ったのだ。
だからこのリアクションなのだ。
「怪我は?」
「大丈夫よ、腕が当たって倒れてしまっただけだから」
「そう」
怪我が無くてよかった。
実験した立場の人間なのだが、涼香のその白く美しい体に傷をつけることはしたく無かったのだ。
なんやかんやで、涼香は護るべき宝なのである。




