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放課後にて 10
「本日お邪魔する部活は、ガーデニング部でございます」
ある日の放課後、わざわざ涼香の下へやって来た千春。
暇人の彼女は、受験生なのによく暇をしている。生徒会長をやっていたことで進学はかなり楽なのかもしれない。しかし、三年の二学期ということで、暇な千春に付き合ってくれる生徒はいない。そもそも基本的には一人で部活にお邪魔している。
「行こうではなの」
他の生徒なら渋るところを、涼香は二つ返事で承諾した。
「えぇ……」
そんな二人のやり取りを見ていた涼音は思い切り顔をしかめる。
別に行くのは構わないが、ガーデニングの活動場所は基本外だと聞く。それに、数少ないまともな部活だ。三年生以外にも生徒はいるはずだ。
暑いし騒ぎになるしで、とてつもなく面倒だ。
「大丈夫、信用したまえ」
胸を叩く千春を、なにを信用しろなのか分からない涼音は胡散臭い物を見る目を千春に向ける。
そしてすかさず、その顔の写真を撮る涼香であった。




