授業中にて 3
「集まってもらったのは他でもない――」
「授業中だから集まるのは当たり前だろ」
「そうだそうだ」
「こらそこ、出鼻を挫くんじゃあない」
とある授業、来月の文化祭き向けてに取ってある時間。
千春が前に立ち、なにをするのかの話を始める。
「ちなみに涼香は大使館らしい」
「大使館か……」「大使館かあ」「なるほど、大使館ね」
大使館と聞いた一同の反応はなんとも言えない様子だった。
可もなく不可もなく、それならば放っておいてもなんとかなるだろう。
「それを踏まえて、うちのクラスはなにをするか」
「メイド喫茶」
「二年が王子喫茶やるって」
「被るな」
「じゃあ被せる?」
「そのクラス騒ぎになるやつ」「涼音ちゃんもそのクラスだって」
「「「「「「「「行こう‼」」」」」」」」
「くちゅん」
「おや、体が冷えているのかい? 温かい紅茶でも――」
雑音を遮断し、とりあえず三階を睨んだ涼音は、勝手に進んでいく文化祭の準備決めに目を向けた。
めんどくさい、非常にめんどくさい。なにが悲しくてこんな行事に参加しなくてはならないのか。
隣の席の人間はうるさいし、なんか上では噂されている気がするし。
(いや、三年生が来てくれた方が安心かも……?)
不特定多数の人間の相手は嫌だが、三年生相手ならそこまで嫌という程ではない。
それなら、自分のシフトに三年生を大量に呼ぼう。そう決めれば、少し気持ちが軽くなった。
そうすれば、自然と周囲の雑音を聞く気にもなれる。
とりあえず隣の席の、恐らく一番面倒な人間の相手からしよう。
「なに?」
愛想良く、だけど絶対の壁を築き、涼音は反応を返すのだった。




