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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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台風の日にて 5

 びちょ濡れ状態から脱していても、やはり濡れた服は着替えなければならない。


 涼香(りょうか)涼音(すずね)は、リュックから変えのブラウスと靴下を取り出す。


 二人以外にも、着替えたり履き替えたりしている生徒はいる。


「着心地が良いわね」


 新たなブラウスに袖を通した涼香が言う。


 まだ暑い九月でも、水で濡れたままだと身体は冷える。靴下も履き替えて、スッキリした気分で身体を伸ばす。


「スカートとインナーはまあ……乾いてますね」


 同じく着替え終えた涼音は、着替えていない場所の濡れ具合を確認していた。


 脱いだ衣類を涼香が綺麗に畳んで袋に入れる。これで着替えが終わる。


 後は超吸水タオルの行方だが――。


「タオル、ないですよね」

「あら、本当ね」


 持って来た超吸水タオルの数は三枚、そのうち二枚は既に回収している。残りの一枚は、菜々美(ななみ)を襲いそこから見ていない。


「外ね」


 そう言った涼香が教室の外に顔を出すと、あちらこちらから悲鳴が聞こえた。


 同じくひょっこり顔を出した涼音も、その悲鳴を聞いて理解した。


「なるほど、転々としてるんですね。全員濡れるまで戻ってきませんよ、タオル」

「それはいけないわね。回収に行くわよ‼」


 そう言うと、涼香はタオルを回収するために教室の外に出る。その時丁度タオルが涼香目掛けて飛んできた。


 そこで察した涼音が外に出ると同時に、超吸水タオルをキャッチした涼香が足を滑らせて宙に浮く。再び涼香の手を離れたタオルが飛んでいき――転びそうになった涼香を涼音がなんとか受け止める。


 背後で再び悲鳴が聞こえるが、もうどうしようもない。


 ――結局、超吸水タオルが涼香の下へ戻ったのは、三年生全員を濡らした後だった。

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