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台風の日にて 4
「おはよ――ってあれ、そんなに濡れてない……⁉」
教室にやって来た涼香達を迎えるなり、若菜が驚いていた。
さっきの瞬間的に吹いた強い風と雨を教室から眺めていたのだ。時間的に外を歩いていた涼香と涼音が濡れていないことに驚くのも無理は無い。
「これ」
三年生の一人が若菜に超吸水タオルを放り投げる。
「うわやばっ‼」
それを受け取った若菜は、水をたっぷり吸ったぐっちょりタオルをすぐさま放り投げる。
ぐっちょぐちょのタオルはその時丁度教室にやって来た菜々美に向かう。
「うげぇやっ⁉」
顔面でキャッチした菜々美の悲鳴が響く。
「菜々美ちゃーん‼」
「わーごめん!」
その様子を見ながら、こういうことかと納得した涼音である。




