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前日にて
「遂に明日ね」
僅かな空気の湿り気を感じ取った涼香の母は、とりあえずずぶ濡れになるであろう娘の着替えを準備していた。
濡れても大丈夫なよう、着替えはジップパックに詰める。
明日は遂に台風が上陸する日だ。休校にならないレベルの大雨が降る。
そんな大雨なら、間違いなくずぶ濡れになるのが涼香である。
別に濡れても涼香は風邪をひかないが、涼音や同級生など周りに迷惑がかかる。だからこそできる限りの対策を講じなければならない。
「超吸収タオルは三枚あれば十分ね。後は着替えね――いえ、もう制服に防水加工を施した方が早いかしら?」
そもそも濡れないようにすれば解決ではないのか。そう思ったが、面倒なためその案は忘れることにする。
それからその他必要になりそうな物を揃え、涼音に渡す用として置いておくのだった。




