表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

637/930

家庭科室にて 10

 もう話は終わったかな、と家庭科室まで戻って来た涼香(りょうか)とここねは、家庭科室の入口に立つ生徒の姿を認めるて足を止める。


 そして涼香が声を出そうとする前に二人に気づいたその生徒は、涼香とここねが瞬きをしたと同時に距離を詰めて涼香の口を抑えた。


 それでもお構いなしに声を出そうとする涼香を地獄から這い上がって来た亡者のような目で睨みつける。


真奈(まな)ちゃん、どうしたの?」


 涼香の口を塞いだままの真奈が答える。


加賀野(かがの)時雨(しぐれ)が話をしている」

「あっ、まだ続いていたんだ」

「深刻な話だった。時雨はワタシと似ている部分がある。どうにか力になりたい」


 いつも凛空のことしか考えていないし見ようともしない、というか常に視界に凛空を入れようとしているし、とにかく行動原理の全てが凛空のための真奈が他人のことを心配しているなんて誰が考えられるだろうか。


 でも、自分達が見ている真奈の姿などほんのひと部分なのだろう。ここねは特にそれに関してはなにも言わずに頷いて、家庭科室のドアを開ける。


「話は聞かせてもらったよ。真奈ちゃんが」


 俯いていた(かなで)(おと)が、震えながら顔を上げる。


「あ……」


 その深刻な雰囲気に、ふざけている場合ではないと、ここねの鼓動が早くなる。


「二人の悩み、ワタシなら解決できる」

「わたしも、聞いていいかな?」


 涙を流しながら、奏は首を縦にふる。音の動きも同じだった。ただ、二人は説明できる雰囲気ではない。だから断りを入れた真奈が説明を始める。


 ちなみに、涼香の口は塞がれたままであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ