家庭科室にて 7
「来たわよ‼」
突如として開かれた家庭科室のドア。そこにいたのは――。
「涼香ちゃん⁉」
まさかの涼香である。
「話は聞かせてもらったわ。それにしても珍しいではないの、音が一人で来るなんて」
「水原も珍しいね。檜山ちゃんがいないなんて」
「あっ、ほんとだ。涼音ちゃんは?」
「文化祭の話し合いらしいわ。それで、どうしたの? 音が一人でいるなんて」
そう言うだろうと思ったここねと音は素直に話すことにした。
「なるほど。やはりそういうことね」
学力残量がまだ多く残っている涼香なら、なにかいい案を思いつくかもしれないのだ。
ここねと音は涼香の言葉を待つ。
「私も涼音を怒らせてしまったのではないかと思う時があるわ。でも大丈夫よ」
「「………………」」
「……………………」
「終わり?」
「ええ。終わりよ」
「「えぇ……」」
あからさまに落胆したここねと音。
「酷いではないの。涼音と奏は違うのよ」
まともな反論をする涼香である。
まともに返され、ならどうするかと考えるが、もう直接聞きに行く思いつかない。
「直接聞きに行くわよ! 奏はいるんでしょう?」
「……いるけど」
「なら安心しなさい! 怒っているのならもう帰っているわ」
「「あー、なるほど」」
再びまともなことを言った涼香。
本当に涼香なのだろうか? そう思ったが、まあまともなことなので、なにもツッコまない。
そして早速三人は奏のいる場所へと向かうのだった。




