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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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放課後にて 8

「先輩が弱いんですよ」


 折り返した階段から、ひょっこりと顔を出す涼音(すずね)千春(ちはる)千冬(ちふゆ)の三人。


 一人置いてけぼりの涼香(りょうか)はそんな三人を頬を膨らませて見ている。


 涼香が一人勝ちを続けなければ、もう勝てるチャンスは無い。


 二十段の千春と十九段の千冬関しては、チョキを出せば確実に勝ちだ。


「早く再開しよう。早く帰りたい……」

「いいわ。そろそろ本気を出してあげようではないの」


 これは決まったな、と涼音の予感が的中し、次は千春と千冬の二人勝ちだった。しかも手はチョキだ。


「「チ ョ ウ シ ン セ イ バ ク ハ ツ」」


 見事二人はゴール。


「じゃ、ボクは帰るから」

「私も暑いから先に戻っとくね」


 終わった直後、そそくさと帰る千冬とそれにちょっかいをかける千春を送り、後は涼香と涼音である。


 そしてそれも涼音が全勝して、涼香の最下位が確定した。


「はい、終わりですね。暑いんで早く教室へ戻りましょう」

「敢えて負けてあげたのよ」


 あっけなく幕を下ろしたグリコは、諸悪の根源が敗れたことにより終わりを迎えるのだった。

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