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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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放課後にて 6

「「「「ジャンケンポン!」」」」


 三回目、次は千春(ちはる)千冬(ちふゆ)がチョキで勝った。


 チョコレート以外に千冬が思いつく長い言葉、チョウチンアンコウ、チョークスリーパーが思いつくが、まだ動かない。


「チ ョ ウ シ ン セ イ バ ク ハ ツ」


 千春が十一文字の言葉で上る。


「長い……!」

「やるわね」


 涼音(すずね)が目を丸く、涼香(りょうか)がそれっぽく口元を拭う仕草をする。


 千冬はどうするのか。まだ序盤だが、使うしかあるまい。


「チ ョ ウ シ ン セ イ バ ク ハ ツ」


 自分で思いつく言葉よりも長い、千春の言葉を使う。


「えっ、アリなんですか?」


 涼音のリアクションに、やっぱりそう思っていたんだなと、千冬は自分の予想が的中したことに笑みを漏らす。


「誰も同じ言葉がダメだと言っていないわよ。でも勘違いする涼音も可愛いわ」

「おいおいおい、私が不利になるじゃあないか?」

「気づかなかった千春も悪い。まあ……先に言っても言わなくても不利になるのは変わらないけど」


 先に上った千春が長い言葉を言わなくても、千冬が長い言葉を言えば、千冬の方が上る段は多くなるのだ。


 これで現在は、上から千春、千冬、涼音、涼香だ。二連続で勝った千春が一番リードしている。


 ただ、長い言葉は全員に共有されている。勝ち負けによっては、すぐに逆転することが可能になる。


「勝ち続ければ当然得をするわ。でも、負けが続くと不利になるのよ」

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