放課後にて 5
「グリコじゃないじゃないですか⁉」
まさかの展開に涼音が言う。
グーがグリコでないのなら、今やっているゲームはなんだというのか。
しかし涼香は落ち着いた様子で答える。
「オリジナルグリコよ」
「「「オリジナルグリコ?」」」
五段高い位置に涼香がいるため、なんか凄い権力を持っている人みたいに見える。
「そうよ。四人なのに同じ段数を上れば同着が出る可能性がある。ならば、それぞれ考えればいいのよ!」
「あーね。理解理解」
千春がまたもや不敵に笑う。
本当に理解してんのか? という気持ちで千冬が気になったことを涼香に聞く。
「言葉に制限はあるの?」
「なんでもいいわよ。ただ、文はダメよ。例えばチョキを出して、チョコレートを食べる涼音は可愛いすぎて国宝なんて目ではない、というのはダメよ」
「誰が言うんですか」
「私よ‼」
「知ってますよ」
涼香の説明に一同は納得して了承する。
「これからが本番よ。全部で三十段、誰が最初にゴールをするのか」
涼香が締め、四人は構える。
「「「「ジャンケンポン!」」」」
「「「「あいこで!」」」」
「「「「あいこで!」」」」
「「「「あいこで!」」」」
涼香と千冬はグー、涼音と千春はパーだった。
本来なら、ここで涼音と千春の上る段は同じだ。しかし今回のルールでは、同じにはならない。
「これは涼音☆スペシャルルールよ」
「なんであたしの名前入れるんですか……」
涼香と涼音のやり取りの間考えていた千春が先に動いた。
「パ プ ア ニ ュ ゥ ギ ニ ア」
九段上った千春。
涼音はどうするか考える。
「制限時間があるのよ」
涼香に急かされ涼音が出した言葉――。
「パ ラ ボ ラ ア ン テ ナ」
その八段だった。
九段上った千春に、八段上った涼音。そして五段の涼香と、まだ一段も上っていない千冬。
勝つのが難しい上に、同時に勝つ相手によっては差は縮まらない。いや、むしろ開く可能性があるのだ――と、涼音は思ているのだろう。




