陰陽部にて 2
ここね(姿は菜々美)のお話が終わると、一番軽症のまりがおずおずと手を挙げた。
ここねが目で促すと遠慮がちにまりが口を開く。
「悪霊に取り憑かれてる……?」
涼香達はある程度慣れたが、陰陽部にとっては、菜々美がここねみたいになっているように見えるのだ。姿が菜々美のため仕方ないことだ。
その質問にここね(姿は菜々美)が答える。
「菜々美ちゃん取り憑かれてたよ。でもこれは入れ替わっちゃった」
「はえ?」
素っ頓狂な声を上げたまりが菜々美(姿はここね)を見る。
菜々美はうむうむと頷いているので、これは嘘ではないことが分かる、が――。
「それはどうかしら」
涼香はそれに待ったをかける。
普段のここねからは絶対に見られない、心底面倒そうな表情で菜々美(姿はここね)が涼香を見る。
「……涼音ちゃん」
一応、涼音に助けを求めるが、いきなりホラー展開を涼香達がしたせいで耳を塞いでいた。
「いったいどういう……⁉」
まりがその言葉に食いつく。
「まあ慌てるんじゃあない」
その間に割り込み手を突き出す千春である。
また茶番をするのかと、困った菜々美はここねを見る。ここねといっても姿は自分なのだが、中身はここねだ。
「……え?」
そのここねを見た瞬間、菜々美は凍りついてしまう。
――ここね(姿は菜々美)の顔が、真っ青になっていたからだった。




