異界にて 2
とりあえず、家庭科室に戻ろうとした涼香と涼音。
「肌寒いわね。温めてあげましょうか?」
「本当に気味悪いですね。他の人もいませんし」
肌寒い廊下を歩きながら、涼音は落ち着かない様子で辺りを見回している。
異界がどうだの、よく分からないが涼香よりは分かりやすい。
「確実にこっちにいるのは私達二人と、菜々美とここね、あとは元凶の陰陽部ね」
「……陰陽部? 元凶?」
数が多すぎて全ての部活動を把握している訳ではない涼音が、呆れた顔で涼香を見る。
「可愛いわね」
「そんな部活もあるんですか……」
「あるわよ。私の誕生日会で全ての部活が来たではないの」
「覚えてませんって」
「困った子ね」
肩をすくめた涼香と再び歩き出す。
そしてしばらく歩くと――。
「あっ、涼香ちゃんと涼音ちゃん」
ここねと菜々美が現れた。
「ここねではないの。留守番はよかったの?」
「うん! 菜々美ちゃんは元に戻ったから、元凶を叩きに行こうかなーって」
四人は合流して、ここねから簡単な事情を聞く。
「……だからあたしあんな怖い思いしたんですか」
青い顔をして項垂れる涼音の頭を涼香がぽんぽんする。
ここね曰く、悪霊のようなモノが涼音と菜々美に取り憑いていたらしく、それを祓うために涼音はここねに呼び出されたらしい。
「心の隙間に入り込んじゃうからね。だから涼音ちゃんに怖い思いをさせて、涼香ちゃんに来てもらおうと思ったの」
「なるほど、だから涼音は可愛いのね」
ちなみにその理由で菜々美は大爆発させられたのだ。
集まった四人はそんな話をしながら陰陽部の活動場所へと向かうのだった。




