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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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家庭科室? にて

 爆発処理をした菜々美(ななみ)を寝かせたここねは、家庭科室の隅に目を向けた。


 その瞳は光さえ逃がさない闇の色だった。


「……見つけた」


 ここねは隅にある、黒い物に向かって一歩、また一歩と詰め寄る。


 それは黒いドロドロした粘土のような、モヤのような、摩訶不思議な黒い物が――見るからに良くない物があった。


 ここねが近づくにつれ、それは細かく震える。意志を持っているのか、見逃されようと、自分は美味しくないと、命乞いにも似たことを言っているようにも思える。


 そんな黒いそれを、ここねは踏み潰す。


 容赦無く、道端の石ころを蹴るように、躊躇無く。


「また、菜々美ちゃんが犠牲になった」


 真っ黒な目で、ここねはある方角を見る。


 その先にある、この騒動を巻き起こした部活動に――。


「あっ、菜々美ちゃん大丈夫?」


 そんな時、目を覚ました菜々美が起き上がる。さっきまで様子はなりを潜め、いつも通りのここねが、小動物の様にとてとて菜々美の下へ戻る。


 近づかれた菜々美は、近づくここねの姿を認めると、赤くなった顔を逸らす。


 そんな菜々美に言う。


「じゃあ行こっか! 元凶を叩きに!」

「…………うぇ?」


 頭が追いついていない菜々美は、素っ頓狂な声を上げることしかできなかった。

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