放課後にて 2
ある日の放課後のこと。
「右足を出して、左足を出すと歩けるのは知っているわよね?」
「初めて知りましたー」
突然そんなことを言い出した涼香。
突然そんなことを言うぐらいだから、暇なのだろう。
涼音のぞんざいな返事に、気を良くした涼香は誇らしげに言う。
「歩けるのよ」
中身ゼロの会話である。本当に暇なのだ。
そんなに暇なら、教室に残って勉強でもすればいいのに、と涼音は思っているが、真面目に勉強をしている生徒の邪魔をするのはどうかと思うため黙っている。
「……帰ります?」
とりあえず帰ろうかと提案してみる。もう学内には、受験勉強をしている三年生か、部活動に精を出す生徒しかいないはず。
別に帰っても問題は無い。
「それもいいけど、暑いのよね」
「それはそうですけど、廊下も大概暑いですよ」
これ以上廊下にいると、汗をかいてしまう。その前に家に帰るか、適当な教室に入って涼をとりたい。
「そうね。では帰りましょうか」
涼香も特に残ってまでやりたいことは無いようだ。
そうして二人は、家へと帰るのだった。




