表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

600/930

昼休みにて 3

「いたあ! 檜山(ひやま)さーん‼」


 その声が聞こえた瞬間、涼音(すずね)は振り返ることなく三階目指して階段を駆け上がる。


 本当は聞こえないはずの声が聞こえた理由、それは涼音に身の危険が迫っているからだ。


 階段を駆け上がり、一番近くの教室に入る。さすがにヤツも三階までは来にくいだろう。そう思ったのだが、万が一涼香(りょうか)のいるクラスには入りやすいということもある。だから涼音は涼香のいない教室に入ったのだ。


 それなのに――。


「檜山さーん……?」


 恐る恐るといった様子で声が聞こえてきた。


 声の主――伊藤夏美(いとうなつみ)。ひょんなことから、涼音に絡みに来るようになった。涼音にとっては邪魔で仕方のない同級生だ。


 ちなみに夏美は綾瀬彩(あやせあや)と仲がいい。その証拠に――。


「あっ、先輩‼」


 さっきまでの様子はどこへやら、明るい声が響く。


「……なんで来たの?」


 その声に返すのは、ため息と共に発せられた声だった。


「あの、えと……、檜山さん見かけて声をかけたら、気づいてないのかなあって……それで後を追って」

「涼音と聞こえたわ‼」

「黙っててくれ……」

「水原先輩⁉」

(あ、終わったな……)


 賑やかになった廊下を、感情の抜けた顔で見つめる涼音。


「……一応、隠れてみる?」


 教室内で三年生が声をかけてくれるが――。


「いや、もういいです」


 どうせすぐに見つけられる。抵抗する意味は無い。


 そしてその後すぐに、それはやって来た。


「来たわよ‼」


 そもそも、夏美が三階に来た時点で涼音の負けだったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ