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電車の中にて
「電車を出れば凄く暑いわ」
「そですね」
「駅から学校まで、冷房付きのアーケードにできないのかしら」
「ギリ実現できそうなこと言いますね。いや知らないですけど」
涼香と涼音の二人は、冷房効いてる電車に揺られている。もう間も無く学校の最寄り駅に着く。
これからまた暑い外を歩くのは勘弁願いたい。
「早く涼しくなりませんかね……」
「今月いっぱいはまだまだ暑いそうよ」
「夏休み延長してほしいですよね」
「そうね。あ、でも大学の夏休みは長いらしいわよ」
「ほんとですかあ?」
胡乱げな眼差しを向ける涼音である。
「これは本当よ。だから、涼音も大学生になれば、一緒にいる時間が増えるわね」
「先輩が留年すれば、四年間一緒になりますね」
「私はそこまで馬鹿ではないわよ」
「…………」
「どうして黙るのよ」
「………………」
「涼音⁉ 否定しなさい‼」
先に出て行った涼音を慌てて追いかける涼香であった。




