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涼香の部屋にて
「すずね~どうして帰ろうとするの~」
ある日の夜のこと、そろそろ家に帰ると言い出した涼音をミュージカル調で止める涼香。
「明日学校だからですよ」
なに言ってるんですかと、涼音は当たり前の答えを返す。
涼香が頬を膨らますが涼音はそんな頬を握る。
「じゃ」
そして涼音が部屋を出て行った。
一人残された涼香は、手をジャージのポケットに突っ込みながらベッドに寝転び天井を見上げる。
「…………本でも読みましょうか」
そう言った涼香が動き始めたのは、それから三十分後だった。




