ヨーロッパ部にて 3
淳子に紅茶を淹れてもらい、ティータイムに入った四人。
「結局、理由は無いということよね?」
紅茶を飲みながら、呆れたように千春を見る涼香。
「うん。私が適当にそれっぽく決めただけだし」
千春はクッキーをポリポリ食べながら答える。
「じゃあなんで変わったんですか? 東崎先輩はもう生徒会長じゃないのに」
「そうよそうよ、涼音の言う通りよ」
涼音は紅茶をふーふー冷ましながら涼香を睨む。
「カクザトウ、イッコ、ニコ、フゥー‼」
もはやヤバい奴と化した淳子は話に参加しない。
「新しい会長が、必要だと判断したらしいよ」
「あら、そうなの」
「変わった人ですねー」
「まー、変わってるっちゃ変わってる子だよね」
ようやく冷めた紅茶を飲んだ涼音と、紅茶を飲み干した涼香、出ているクッキーを全て食べた千春。
だれもこれ以上話を広げようとしないし、時間も帰宅部の生徒は殆ど帰った頃だろう。
「そろそろ帰りましょうか」
「モウカエッチャウンデスカ?」
「安心しなさい、千春はいてくれるらしいわよ」
「うわ自然な流れで売られた」
「イエーイ、チハルー!」
一瞬悲しそうな顔になった淳子だったが、涼香が千春を売ると笑顔で千春に抱き着いた。
「じゃあ私達は帰るわ。また明日」
「それじゃ、お邪魔しました」
二人が出ていった後の教室、淳子に拘束されながら、千春は思い出したかのように呟くのだった。
「あの子……涼音ちゃんと同じクラスだったはずだけど……」




