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放課後にて
ある日の放課後。
涼音は涼香の隣を歩いていた。
「どこ向かってるんですか?」
暑いし他学年の生徒も多いで、帰る時間を遅くしている二人。別にどこへ行こうと時間が潰せるのならいいが、せめてどこに行くのかぐらいは言ってほしい。
「決まっていないわよ」
「えぇ……」
決まっていないのだから言えるはずなかった。
それでも、時間を潰すとすれば教室かどこかの部活動に顔を出すぐらいだ。ということで、涼香は文化部の活動教室がある特別棟へ来ていた。
家庭科部にお邪魔する頻度は高いが、頻繁に出入りすると迷惑かもしれないのでたまには違う部活にも顔を出す。
そんなこんなでやってきたのが、『特別教室1』と書かれた教室。何部が使っているのかは分からない。
「来たわよ!」
それでもいつも通りいきなり入り込んだ涼香。
「すいません、お邪魔します……」
その後から恐る恐る入り込んだ涼音である。
――ヨーロッパ部へ。




