夏休み明け初日にて 2
「おはよ――ってなにしてるの⁉」
教室に入って来るや否やそう言っ、た黒髪ショートカットの生徒、春田若菜が恐ろしいものを見たような表情で涼香を見る。
「なんで涼香が勉強してるの?」
「やっぱりそうなるわよね」
若菜の疑問にうんうん頷く菜々美。なんとなくの雰囲気でそれっぽいことを言え、涼香と三年間同じクラスの若菜が驚く程、涼香が勉強をしている姿は異様らしい。
「ほら、だって先輩達受験は来月じゃないですか」
「「「ん?」」」
涼音の言葉に、その場にいた三人が一瞬固まる。
(来月受験なの?)
(いや、まだ先)
(涼香ちゃんと涼音ちゃん、勘違いしちゃってるってこと?)
(多分それしかないわね。でも涼香だけならまだしも、涼音ちゃんまで勘違いしているのよ)
(じゃあ意図的にってことだよね)
(じゃあわたし達がするのは――)
「そうなんだよねえ、私も同じ学校だからさ、頑張ってるんだ」
同じ大学を受験する若菜の言葉に続き。
「私とここねはもう少し後だからまだいいけど」
「涼香ちゃん達頑張ってね!」
菜々美とここねが無関係を装う。
再び、恐ろしいものを見たような表情をする若菜であった。




