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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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番外編 涼香と涼音 最後の晩餐(昼食) 4

 そんなこんなで、三人がやって来たのは、漁港近くの食堂だ。


 中はかなり広く、平日の昼を過ぎたこともあってか、人の数はそれ程多くない。


「初めてだけど、結構いい値段するわね」


 注文は食券を買うらしく、値段は千円程度の物から、二、三千円程度の物もある。


 千円程度の物はうどんやそば、オーソドックスな海鮮丼などだ。


「まあいいわ、好きなのを選びなさい。最後の晩餐、遠慮せずにね」


 未だに身体に力が入っていない涼香(りょうか)。しかし、その瞳には海鮮丼の写真が映っていた。


「あたしは……じゃあマグロで」


 二千円程度のマグロ丼を遠慮無く頼む涼音(すずね)。その次は、涼香が無言でボタンを押す。これまた二千円程度の漁師の賄い丼という物を選んだそうだ。


「決めるのが早くて助かるわ」


 そう言って、涼香の母は一番高い海鮮丼と天ぷらが一緒になっている定食を頼んでいた。


 食券を買った時点で、厨房には注文が入っているらしい。買った食券には番号が印刷されており、その番号で呼び出されるスタイルとのこと。


 四人掛けの席に座った三人、涼音の前に水原(みずはら)母娘が座る。


 いつもの涼香なら、今か今かとそわそわしているはずだが、今の涼香は全く動かない。見ていて心配になる。


 しばらくすると、放送で番号を呼ばれる。その番号が涼香と涼音の頼んだ海鮮丼の番号だった。


「取ってきてあげるわ」


 涼香の母がそう言ってカウンターへと向かう。


 残された涼音は、動かない涼香を無言で見つめる。


「先輩、海鮮丼ですよ」

「ええ、そうね」


 全く抑揚の無い返事を返す涼香であった。

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