若菜と紗里 私のせい 2
それはつい最近、涼香達とボウリングで遊んだ日の帰りのことだった。
涼香と涼音を送り、車内には若菜と紗里の二人だけ。
いつもなら、ここで若菜を家に送って今日は終わりなのだが、今日はそれで終わりではなかった。
「紗里ちゃん。勉強教えてー」
「いいけれど……。涼香ちゃんのこと?」
それは帰りの車の中での、涼香が涼音に対して声を荒げたことだ。
車は信号で止まり、紗里は若菜の顔を覗き見る。
「うん。でもまあ元々、私は他の人達よりも勉強しないとだから」
実は、若菜は進学予定の大学の特待生枠を狙っている。家がそれ程裕福でもない若菜。奨学金を借りれば大学に通えるが、できるなら将来の負担を軽減したいと考えている。
そういった理由で、紗里に勉強を見てもらっており、今日みたいな息抜きも、紗里が若菜の学習ペースを見てくれているからできたことだ。だから今日は息抜きということで、別に勉強をしなくても問題無いのだが、紗里を信じていない訳ではないのだが、友人との進路の話をしてから、入試という現実がよりも濃く見えてしまい、焦りが芽生えたのだ。
「ペースは大丈夫だと思うけれど。大丈夫なの? 疲れていたら効率は落ちるのよ?」
「大丈夫! 体力には自信あるから!」
ボウリング場では、涼香のやらかし阻止で奮闘して疲れていたはずなのだが、やはり引退したとはいえ、先日までバスケ部として頑張っていたのだ。まだまだ身体と頭は動く。
「分かったわよ。それなら……今日は私の家に向かいましょうか。私が一人暮らししている家よ」
「いっ⁉」
信号が変わり、車は紗里の住む家に向かうのだった。




