涼香の誕生日会にて 16
その後も絶妙なラインを突くプレゼントが渡され、争いは熾烈を極めていた。
「ドミノ部からは魚の形の栞セット!」
「実用的ではないの!」
「バレー部からは膝と肘のサポーター!」
「先輩のためにそこまでしてくれるんですね……‼」
「地図縮尺部は文化祭で発売予定の『ここって、学校何個分?』の|涼香《りょう
か》の誕生日スペシャルセット!」
「今年も面白い取り組みをしているではないの!」
「「占い部からは、保温保冷対応、ステンレスタンブラー‼」」
「これなら落としても大丈夫そうですね!」
など――、所々誰に対してのプレゼントでも通用する物も混ざりながら、個性豊かな部活によるプレゼント渡しが進む。
そして半分が終わった頃――。
「それでは、現在一位の部活を見てみましょう」
若菜が黒板を叩くと、他の生徒がカメラを黒板に向ける。
「一位は四百三点! 絵画部の絵‼」
カメラがその絵画部の絵に向けられる。その絵は、涼香と涼音の絵だった。
それもシンプルで、なにをするでもない、涼香と涼音の日常を描いた物。
「涼音が可愛いのがいけないのよ。本当は満点をあげたかったわ」
その得点を聞いた時、誰もが思った。涼音ちゃんか! と。
「二位は三百八十八点のおはじき部で、三位は三百八十七点サッカー部」
おはじき部は魚介類佃煮のセットで、サッカー部は孫の手だった。
これから後半戦に入る。果たして、これらを超えるプレゼントを渡す部活動は現れるのだろうか。




