涼香の誕生日会にて 12
最後に細かな調整を経験者である涼香がした後、流しそうめんが始まる。
水を出し、それぞれの竹の中を水が流れる。
そうめんを湯がいたり、流したりするのは、もう食べられない小食の生徒と、そうめんに飽きた涼香と涼音である。
「本日の主役が流してあげるわよ! 感謝しなさい! いくわよ!」
涼香の掛け声で流しそうめんが始まる。
涼香も涼音も、そうめんに飽きてはいるが、楽しそうに流しそうめんを楽しんでいる姿を見るのは嫌ではない。そうめんを見るのは嫌だが。
「涼音! 弾切れよ‼」
「はーい」
そうめんは嫌だが、流すのはノリノリの涼香である。
――しかし、そんな勢いは最初だけだった。
「腕が疲れたわ……変わって」
「主役なのに大変ですね」
涼音が流す役を変わった。大半の生徒はもうお腹いっぱいだと終わっているが――。
「ヘイヘイ涼音ちゃん。まだまだ食いたんないぜ」
などとぬかす元運動部の面々。彼女達の胃袋は、一般の女子高生の胃袋とは違う。
これは長期戦になりそうだ。
だからといって諦める訳にはいかない。
「先輩の仇、あたしが取ります……‼」
なんやかんやで、涼音もノリノリであった。




