涼香の誕生日会にて 7
「聞きなさい! 私を楽しませることができれば、この涼音が作ったケーキを一口あげるわ‼」
涼音とここねがケーキを作った人物を探しに行った時、涼香は若菜からマイクを貰ってなにか王様みたいなことを言っていた。
「我こそはと、自信がある者は教室へ来なさい‼」
誰が行くんだよ、そう思った一部生徒もいたが、あの涼香が涼音ちゃんの作ったケーキを分けてくれる⁉ ということでそこそこの生徒が涼香のクラスへ行っていた。
クラスへ行かなくても、モニター越しでそれを楽しんで見ている生徒も多い。
「仕方ねえ、私からやるか」
ある程度集まったところで、若菜がそれっぽく先陣を切る。
「最初は若菜ね。さあ、あなたに私を楽しませられるかしら」
肘をついた涼香が組んだ手を口元に持ってくる。組織の偉いさんみたいなセリフだが、『本日の主役』と書かれたタスキに、BIRTHDAYの形の、ピンホールタイプのメガネ、ロウソク(プラスチック製)の付いたカチューシャを装備しているため、なんとも珍妙な光景だ。
「じゃあ一番若菜、始めます」
そう言って若菜がクラウチングスタートの構えを取る。
「On your marks Set――」
そう完璧な発音で言った若菜は立ち上がる。
「以上!」
「不合格!」
「くそう‼」
「さあ、次は誰かしら」
今の若菜のネタでハードルが大きく下がったため、みんな我先にと手を上げ始めるのだった。




