涼香の誕生日会にて 5
『予定では、ここで菜々美ちゃんに歌ってもらおうと思ったんだけど、パスでお願いしまーす』
笑顔のここねがそう言って映像が途切れる。
モニターは再び各教室を映し出す。
「普通にケーキ渡しましょっか」
薄々こうなることが分かっていた一同。涼音の言葉に反応して、ケーキを持って来る。
ロウソクが十八本立てられたケーキだ。
涼香の前にケーキが置いてロウソクに火を灯す。
暗い教室内を、暖かなロウソクの火が照らし、ケーキの姿が照らされる。
「これは……モンブランかしら?」
全員でハッピーバースデートゥーユーと歌い、涼香が火を吹き消す。
教室の明かりをつけると、白い光が全てを照らし、ケーキの全容を明かす。
「そうめんです」
「聞き間違いかしら?」
ケーキの見た目はモンブランだ。ただ、モンブランは茶色だが、目の前にあるケーキは白色だ。そうめんに見えないこともない。
「そうめんです」
「冗談でしょ?」
涼音がケーキを切り、涼香の口へ突っ込む。
「嘘です」
「――ホワイトチョコね。美味しいわ」
その様子を見て、誰かがケーキを切り、誰かがジュースを入れる。全員で協力し合いながらの作業だ。
賑やかになった教室を見ながら涼香は微笑む。
「なに笑ってるんですか?」
「秘密よ」
「そですか」
二人だけの会話をしていると、若菜が言う。
「ケーキ食べた後も色々あるからー! その時は自由ね!」
「「「「「はーい」」」」」『『『『『はーい』』』』』
まずは二班が作ったケーキを食べることとしよう。
いただきます――そう言ってケーキを食べ始める。




