涼香の誕生日会直前にて
「さて、そろそろ時間ね」
涼香の誕生日会の開始時刻は十一時、そして今の時間は十時五十七分。もう間も無く始まる時間だ。
涼香はどこからか『本日の主役』と書かれたタスキを取り出す。
「「どこにあった?」」
春と秋がツッコミを入れてくれるが、涼香は微笑んだだけ。
「こんなのもあるよ」
そう言って聖夜は、BIRTHDAYの形の、ピンホールタイプのメガネを渡してきた。
「いい物を持っているではないの!」
ありがたくメガネを受け取り、早速装着する涼香。
「あとこれも」
星音夏はロウソク(プラスチック製)の付いたカチューシャを涼香に装着。
そしてそのタイミングで、空き教室のドアが開かれた。
「…………………………楽しそうね」
五人を呼びに来た菜々美が、冷めた目で涼香見ていた。
「照れるわね」
「概ねいつも通りですね」
「涼音ではないの‼」
菜々美の後ろから姿を現した涼音が言う。メガネとカチューシャは知らないが、タスキはいつも通りだ。
とりあえず五人にもう始まるということを伝え、教室に戻るよう促す。
そして主役は最後ということで、涼香は廊下で待機を命じられた。
「さあ、私を楽しませられるかしら」




