涼香の誕生日会の前にて
遂に迎えた涼香の誕生日ということで、涼音は涼香を起こすためにクラッカーを構えていた。
七時まであと一分、念の為もう一つクラッカーも用意する。
そして七時になり、アラームが鳴り響く。
「うぅ……ん……」
やはり誕生日だからといって、寝起きが良くなるという訳では無い。だけど起きてもらわなければ困る。
涼音はクラッカーを二発同時に発射する。
大きな破裂音を轟かせるが、涼香が起きる気配は無い。
「えぇ……」
クラッカーの大きな音でも全く起きない涼香に戸惑いを隠せない。
とりあえず火薬臭いため、窓を開けてから涼香を揺する。
「起きてくださーい」
「す……ずね……」
「誕生日おめでとうございます」
「起きたわ‼」
「えぇ……」
言うのは二回目なのだが、たったそれだけの言葉で起きるとは。もしかすると最初から起きていたのかもしれない。
ただそんなことはどうでもよく、起きたのなら準備を始めなければならない。今回の誕生日会は三年生全員が関わっているのだ。遅れる訳にはいかない。
「さて、涼音も起きたことだし、準備をしましょうか」
「寝てたの先輩ですよね」
「細かいことはいいではないの」
「なんなんですか。……まあ、とりあえず朝ごはん食べましょうか」




