夏休みにて 40
「さて――」
「そうめんですよ」
「……そう」
いつも通り昼食はそうめんだ。
今日のお昼ご飯はなにかしら? なんて言わせる隙は作らない。
うんざりしている夏休みのそうめん。夏休みが終わればそうめんではなくなるのだろうか、それでも夏休みは終わってほしくない。
夏休みかそうめんか、どちらかを選べと言われても困る程に難しい問題だ。
「もういっそのこと、そうめんに生クリームかけましょうか!」
「やろうではないの!」
そうめんも基本的には小麦粉だ。合わないはずがない! 涼香も涼音も、もうやけくそである。
早速、冷蔵庫から今朝立てたばかりの生クリームと小皿を持ってくる。
小皿にそうめんを少し取り、その上から生クリームをかける。
どっちも白だ。そうめんがホワイトチョコに見えないこともない。
「――生クリームですね……」
「甘い生クリームの中にツルツルのそうめん。どう足掻いてもそうめんね」
見えないこともないというだけであって、やはりそうめんには変わらない。
「うどんみたいに、暖かい出汁で食べるのが一番かもしれないわね」
「試しましょうか、明日」




