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盆休みにて 13
「涼音ぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ」
早速、不足した涼音成分をこれでもかと吸い込む涼香。
レスリングのタックルの要領で抱きつき、お腹に顔を埋めて頭をグリグリしてくる。
「痛いです」
なんて言っているが、その顔は喜んでいる。ようやく涼香に会えたのだ、嫌がる理由なんて無い。
むしろ優しく頭を撫でたり抱きしめたりしてる。
涼音も涼香成分を摂取しているのだ。
この一週間、会話したのは電話でのみ。互いに触れ合うこともできず過ごしていた。
「幸せね……」
「ですね……」
そうして、二人にとっては拷問ともいえる盆休みが終わるのだった。




