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涼音の部屋にて 27
「さて……と」
空が白み始めた頃、本を閉じた涼香が立ち上がる。
「お腹が空いたわね」
「もうそんな時間ですか」
と言っても、もうそんな時間なのかどうか分からない。
このままいつも通りの生活時間に戻るのだろうか。
「分からないわ。ただ、お腹が空いたのよ」
「それはまあ……そうですね……」
「「でも――」」
お腹は空いたが、ご飯を取りに行く気にならない。なぜなら――。
「「そうめん」」
そうめんの可能性があるからだ。
いくらなんでも、一日二食そうめんは無いと思うが、一応日は跨いでいるのだ。涼香と涼音基準で考えてもいいのか、そうでないのか。
確かめるのが嫌だ。
「嫌ですよ、あるのがそうめんとか」
「逆方向の流れで流しそうめんしかないわよね」
「嫌だあ……」
まだそうめんだと決まった訳ではない。しかし二人の頭では、ご飯はそうめん以外思いつかなかった。




