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夏休みにて 35
夏といえばそうめん、そうめんといえば飽きる――ということで、テレビではそんめんアレンジつゆレシピ特集をやっていた。
「味変……ねえ……」
麺つゆでそうめんを食べながら涼香が言う。
「そんめんはどう足掻いてもそうめんなんですけどね」
それでも画面から目を離せない。
見ていると、使っている材料は多くの家庭にある物だった。
涼香と涼音は顔を見合わせる。
どう足掻いてもそうめんなのだが、試せるのなら試してみよう、そんな思いが重なった。
二人はガタンと立ち上がり、早足で冷蔵庫へと向かう。二人同時に冷蔵庫の扉を開け、膝から崩れ落ちる。
「なにも無いではないの!」




