水原家にて 33
そうやって二人がどうしたものかと、透明ケースを眺めていると、涼香のスマホから通知音が鳴る。
送り主は案の定母からだった。
『間違えるとお小遣いは粉々になるわよ』
「でしょうね」
「なんてきたんですか?」
涼音に聞かれて画面を見せる。
「やっぱり……」
『明日の昼食はそうめんかそうめんではないか』『そうめんだと思うのなら青、そうめんでないのなら赤のボタンよ』
「えぇ……」
続いて届いたメッセージを見た涼音のリアクションを見て、涼香も画面を見る。
「えぇ……」
二人揃って同じリアクションだった。
「未来ではないの!」
『未来ではないの!』
言いながら同じことを返信する涼香である。
『そう、未来なのよ』『少し考えれば分かることよ』
母からの返信を見て、眉根を寄せる涼香。
明日の昼食がそうめんか否かを選んでボタンを押せという訳の分からぬ問題。
しかし、今の涼香はインテリジェンスでジーニアスな気分なのだ。すぐに答えを出さずに考えることができる。
「どうせそうめんでしょ」
そう言ってボタンを押そうとする涼音。




