ここねの部屋にて 7
涼香との通話を終えてしばらく、ここねがサンドイッチを乗せたトレーを持って戻ってきた。
「おまたせー」
「ほんとにサンドイッチだ……」
「軽食はいつもサンドイッチなんだあ」
そう言ってトレーをテーブルに置くここね。トレーの上では中身まで詰まっているとひと目で分かる、みずみずしいレタスの挟まれたサンドイッチがある。
「オシャレなカフェみたい……」
「味も美味しいのよ」
「さすが家庭科部」
「えへへ」
褒められて嬉しそうなここねと菜々美。
「美味しそうですね」
「遠慮せずに食べてね」
一方その頃――。
「あなたがこの『絶品 鮭の切り身丸入れおにぎり(骨無し)』を食べるためには、この問題の解き方を私に説明してからよ」
涼香の母が涼香に、鮭の切り身がはみ出たおにぎりを見せながら言う。
「私はサンドイッチが食べたいわ! スモークサーモンが入ったサンドイッチよ‼」
「今は米を食べなさい」
勉強中は腹持ちが良く、エネルギーに変わりやすいものを食べろということだった。
母の言葉に、拳をテーブルに振り下ろす涼香であった。




