芹澤家の玄関にて
お邪魔します、と家に入った三人。玄関は菜々美達三人が立っても余裕がある程広い。
「広いですね」
「……置いてある物全部高そう」
広々とした玄関には、絵画が飾られていたり、壺や皿が置かれていたりしている。
するとすぐにドアが開き、ここねが右手を擦りながら入ってきた。
「わたしの部屋は上だよ」
「えっと……挨拶した方がいいわよね?」
すぐ上がるのもいいが、ここねの両親がいるのだ。挨拶はしておく方がいいだろう。
「そですね」
「だよね……緊張してきた……」
恐らくリビングに続くであろう、重たそうなドアを見ながら若菜が汗を滲ませる。
「どうしよう、庶民は帰れって言われたら……」
「そんなこと言わないよ」
ここねが言うのならそうなのだろうが、だからといって緊張が消える訳でもない。
「ちなみにご両親の職業は……」
「お父さんが検察官、お母さんが銀行員。お父さんの仕事はいまいち理解してないんだけどね」
「どっひゃー」
白目を剥いて倒れる若菜、なぜ聞いたのか。
そんな若菜を慌てて支える涼音であった。




