ベッドの上にて 7
「先輩、筋肉痛治りました?」
ここ数日、ボウリングの反動で右腕が使えなかった涼香。涼音も筋肉痛になったが、涼香程酷くはなかった。
「まだよ! だから今日もご飯を食べさせなさい」
そう言って、なぜか抱っこしてと両腕を上げる涼香。
「治ってるじゃないですか!」
そんな涼香にツッコむ涼音。この数日間、右腕が使えない涼香の介護は大変だった。これからは誘われてもボウリングに行くのは止めようと思う程に。
「ええ治ったわよ! 治ったからといって甘えてはいけない理由にはならないでしょう!」
なぜか逆ギレしてくる涼香に心底面倒そうな顔を向けると、やがて涼香の顔が、恐ろしいものを見たような表情へと変わる。
「反抗期……⁉」
「反抗すればよかったですね」
そうすれば涼香はこの数日間、涼音の介護無しで過ごすことになっていた。
「早く起きてください」
これから朝食だ。もう九時は過ぎているが朝食なのだ。
涼音はそう言って部屋を出ようとする。恐らく涼香の母がリビングの冷房の起動予約を設定してくれているだろう。既に十分冷えているはずだ。
「すーずーねーのーいーじーわーるー!」
「あーもう面倒くさいですね」
仕方なく涼香を抱っこして、起き上がる補助をしてあげる涼音であった。




