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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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421/930

屋内型複合レジャー施設にて 26

「じゃあ第九位は――明里(あかり)

「わあー、そんなに低かったの」

「えースコアは三十……あ、やっぱ後で各々確認して、本当にごめん、疲れてるから」


 そこまで疲れているのなら、他の人に変わればいいのだが、このメンツだ。凛空(りく)だけは盛り上がって結果を発表するだろうが、誰もそのノリに合わせることができない。全く疲労の色が見えない紗里はそういうタイプでは無いし、比較的元気な涼香(りょうか)若菜(わかな)(ゆず)以外の五人もそういうタイプではない。


「八位、綾瀬(あやせ)彩」

「まあそうなるか」


 彩は夏美(なつみ)と明里と同じレーンだ。だから二人のスコアも知っている。七位か八位で予想していたため納得だった。


「どんどんいくよ。七位――涼音ちゃん」

「ラッキーセブンよ!」


 涼香の顔が輝くがどうでもいい。


 ボウリングは得意ではなかったが、夏美のアドバイスのおかげでそこそこのスコアを取ることができた。後で一応礼でも言っておこう。


「六位、夏美ちゃん」

「はあ?」

「えっ、先輩どうしたんですか?」

「……なんでもない」

(夏美はそこそこストライク取っていたはずだけど? それなのに六位って、どんだけハイレベルなんだよ)

「えー、五位。真奈」

「うっそ」

(結構ストライク取ってたのに五位⁉ ハイレベルすぎん?)


 彩と凛空はほぼ同じようなことを考えていた。


「四位、若菜」

「うん、頑張ったよ……」

「三位、涼香」

((そりゃ疲れるわ))

(ほんと先輩がすみません)

(やっぱり水原先輩って凄いんだ!)


 同じことを考える彩と凛空、後でしっかりお礼を言おうと決意する涼音、涼香の凄さを改めて確認する夏美である。


「二位はウチね。で、一位と最下位は、まあみんな分かってると思うけど」


 スコアは見ずに、後を引き継いだ若菜が発表する。


「一位は紗里ちゃんで、最下位は凛空ね」


 その言葉を聞いた真奈が抗議しようと動いたが、すぐさま凛空に止められてしまう。


「ということで、賞品は紗里ちゃんが獲得でーす」


 なんとも盛り上がらない結果発表が終わる。


 賞品などを渡す前に、とりあえずボウリング場から出ようと一行は移動を始めるのだった。

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