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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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屋内型複合レジャー施設にて 24

涼音(すずね)

「うぇあっ‼」


 ボウリングも十フレーム目、一足先に終わった涼香(りょうか)は、同じく一足先に終わった涼音の元へやって来た。


「なんですか急に」


 いきなり後ろから来られるとさすがに驚いてしまう。


「腕が上がらないの」


 涼香はどこか悲しそうに、右腕をペンギンみたいにパタパタしている。右腕が上がらないということだろう。


 試しに涼音が涼香の右腕を持ち上げる。


「痛いわ!」

「どうしたんですか?」


 怪訝な顔をして涼音が聞くと――。


「筋肉痛ね」


 背後から紗里(さり)がやって来た。


「筋肉痛?」


 ボウリングで筋肉痛は分かる。涼音も前腕部が少しばかり痛い。これは明日から激しい筋肉痛に襲われることだろう。しかし痛いのは前腕部のみ、涼香みたいに腕全体が痛いということは無い。


「力を使いすぎたのよ」

「また訳の分からないことを……」


 後でどんな具合だったのか紗里達に聞くこうと思った涼音である。

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