屋内型複合レジャー施設にて 20
二巡目、涼香の番がやってきた。
次はなにを見てくれるのか、彩と柚は身構える。
そしてその隣のレーンでは、次はどうやって夏美の目を逸らそうかを考える。
今回も涼音を見ているし、明里にもアドバイスするから大丈夫だろうが、念の為だ。
「ボールは重いんで、無理して投げようとしなくても案外大丈夫なんです。置いて押してあげるような感じでやってみてください」
「わかったー。見ててね」
ほんとに分かってんのか? と明里を見ると、明里も彩に気づいて、手を振ってくる。
説明中、視界に涼香が入らないよう、明里も調整してくれているし、今回は大丈夫だろうか。
涼音は夏美に言われたように、脱力して投げているらしく、スペアまでとはいかずもそこそこ倒していた。
「わー、やったよ夏美ちゃんに彩ちゃん! 三つ倒れたよ」
「……平和」
三ピンでも、ガターに比べれば大きな進歩だ。
隣のレーンでは、若菜と柚が凄まじい速度で動いていたが、見ないようにする。
とりあえず、明里の二投目が始まるまで、夏美の視線を右――涼香達のいるレーンに向かないようにする。
「夏美」
「なんですか?」
呼んだはいいが、なにを話せばいいのか分からない。
ちらりと夏美越しに隣を見ると、恐らく涼香の二投目始まるところだ。
ボールがレーンに激突する音が聞こえたが問題ない。
「いや……別に……」
もう大丈夫なのだが、呼ぶだけ呼んだというのもアレだ。彩は頑張って言葉を絞り出す。
「楽しい……?」
「はい!」




