屋内型複合レジャー施設にて 18
次の投球者は、若菜、夏美、凜空の三人である。
当然、人によって投球し終えるまでの時間はバラバラだ、この三人が同時に投げるということはなく、大体のタイミングが揃うぐらい。
若菜は流石運動部、一発目からストライクだった。
「いよっし!」
拳を掲げて喜ぶ。
「おおー」
「流石ね!」
「やるではないの」
三人からの喝采を全身で浴びる若菜である。
――その隣の夏美は、涼音にアドバイスするだけのことはある。若菜のようにストライクとはいかなかったが、見事スペアである。
「夏美ちゃんすごーい」
「ふんっ」
ぱちぱちと手を叩く明里の隣では、彩が誇らしげに鼻を鳴らす。
夏美は笑顔で戻ってきた。
――ストライクを取った若菜、残りニピンだが、さっきの調子だと恐らくスペアを取れる夏美を見た凜空はみゅっとした表情をしていた。
「待て待て、なんかハードル上がってない?」
隣二つがそうなれば、自分もストライクかスペアを取らなければならないという気分になる。
「大丈夫、凜空が駄目でもワタシ細工して凜空を一番にするから」
憎しみの視線を撒き散らしながら、真奈が言う。
「それはやめい」
「そんな……⁉」
それを容認する凜空ではない、提案を拒否された真奈の動きが止まる。
そんな真奈の目の前で手を振った凜空。
「まーた止まってる。涼音ちゃーん、手伝ってぇ」
「あ……はい」
素直に手伝い、真奈を座らせる。
これで凜空の番だ。
凜空は一番軽いボールを両手で抱える。
「おんっも……ったい‼」
そのまま下投げでボールを投げる。投げるというか落とす。
少〜しずつピンに向かうボールは、上手いこと真正面からピンに向かう。
「おお⁉ きた!」
このまま倒せる! そう思ったが――。
「あぇ?」
「わあ……」
ボールはピンに接触、しかし倒すことはなく、受け流されて横へ行く。最後の最後、一番端のピンだけは倒れた。
「えぇ……」
「……こんなことってあるんですね」
二回目は全く倒せず、凛空の一投目は終わるのだった。




