表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

381/930

水原家の台所にて 8

 無事に薄力粉を篩い終えた涼香(りょうか)は、冷蔵庫から出していたバターの固さを確かめる。


 軽く指で押してもあまり沈まない。もう少し待った方が良さそうだ。


 その間に卵を割る。使うのは一つだが、失敗しても大丈夫なよう五つ用意されていた。


「舐められたものね」


 失敗前提で用意されていると、失敗したくないのだ。それに、卵を割るのを失敗するくだりは以前やった。同じ失敗をする訳が無い。


「あら――失敗したわ」


 などと、その気になっていた涼香を嘲笑うかのように、卵は情けない音を立てて砕け散る。


 幸い、落ちた先はボウルの中。殻を丁寧に取れば問題無い。


 一つ一つ殻を取る作業に、予想外の時間がかかる。殻を全て取り終えた頃には、バターも丁度使いやすい固さになっていた。


「計画通り」


 バターをボウルに入れ、ゴムベラで混ぜる。ある程度混ざり、色が変わったところで砂糖を入れる。


 バターに砂糖が十分混ざると、次は溶き卵を三回に分けて入れていく。


「どうして分けているのかしら」

『それはですね――』

「大丈夫よ、分かっているわ。涼音(すずね)は休んでなさい」


 頭の中で解説の涼音が出てきたが、休んでいてもらう。理由は分かった上で言っているのだ。ただ、言ってみたかっただけだ。


 頬を膨らませた涼音が出ていく。


 卵を混ぜると、生地がもったりとしてくる。そうなると、次は薄力粉を入れる。


 薄力粉を入れ、ヘラで切るように混ぜる。これはそこまで混ぜなくても大丈夫だ。


 ある程度混ざると、手で軽くこねてひとまとめにする。


 勿論こねる時に、愛情はこれでもかというほど込めておいた。


 後はラップをして、冷蔵庫で三十分程寝かせておく。


「――いいではないの。後は片付けでもしましょうか」


 上手く作れる自信がある。出来上がりを楽しみに、涼香は使った器具を片付け始めるのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ツギクルバナー
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ