水原家にて 13
翌朝、涼香は既に起きていたらしく、目を覚ました涼音は広くなったベッドを堪能する。
近くに置いてあったスマホを取ると、メッセージが一件。ここねからだった。
水族館からの帰り道に寄ったラーメン屋での約束である、ここねおすすめの激辛料理を食べられる店へ連れて行って貰うという約束だ。
昨日、急遽連絡したが快諾してくれたここね。色々と犠牲になる菜々美の車での移動だ。もう一人スペシャルゲストが来るとのことだが、それが誰かは聞かされていない。
――そろそろ一人でベッドを堪能するのに飽きた涼音が起き上がる。
ご飯を食べに行くのはお昼だ。それまでまだ少し余裕がある。迎えが来る前に家へ帰るのは余裕のはずだ。
階段を降りてリビングへ入る。
「す、涼……音……お、おは……よ……う……」
「おはよう、朝食を用意してあるわ」
「おはようございます、ありがと」
干からびた涼香と、その正面に座る涼香の母。
涼音は冷蔵庫を開けて、水を取り出しながら言う。
「先輩干からびてるけど、大丈夫なの?」
「ええ、干からびた方が知識をよく吸収するわ」
「へえ」
涼音の質問に答えると、またすぐに涼香に教える。
涼音も特に言うことは無い。水を飲んで朝食をいただくことにする。
朝食といってもハムを乗せたトーストに軽いサラダぐらいだが、それでも自分で用意する手間を考えれば助かる。朝はパン派の涼音に合わせてくれているのもありがたい。
すぐそこでは涼香が、あーとかうーとか言っている。
限界そうに見えるが、まあいい。
気にせずパンにかぶりつく涼音であった。




