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百合の一幕 涼香と涼音の緩い日常  作者: 坂餅


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328/929

スーパーマーケットにて 6

「鶏ミンチ七百グラムとハムを三パック付いているものを二つ。あとは……魚を買ってはいけないのかしら?」


 肉売り場の隣にある魚売り場に目を吸い寄せられる涼香(りょうか)


「重たいですし、そこまで予算を貰っていないですよね?」


 予め今回の買い物の予算を受け取っていた。計算はしていないが、涼香の母のことだ。指定された物分の予算しか渡していないだろう。


「……仕方がないわ」


 悔しさが滲み出る顔で涼香は魚売り場から顔を背ける。


「肉類はこれだけですか?」


 涼音(すずね)が涼香の意識を魚から話そうと声をかける。


「え? そうね、待ちなさい」


 そう言って涼香はスマホを開いて母からのメッセージを確認する。


「ええ、そうね。肉類は少ないわね。あとは冷凍食品よ」

「じゃあ早いとこ行きましょうか」


 生肉を取ったのだ、痛めないうちに会計を終わらせたい。


 涼香ホイホイと名高い魚売り場から涼香を連れて冷凍食品コーナーへ向かおうとする。


「ああ! 魚が!」

「はーいはい。怪我しないうちに行きましょうかー」


 嫌がる涼香を無視して強引に向かう。


 そろそろ人が多くなってくる時間帯だ。いつも通り騒がれるとかなり目立ってしまう。


「意地悪!」

「は や く!」


 ようやく涼香を魚売り場から引き剥がすことができた。


 今のやり取りで疲れてしまった涼音は、涼香の持つ荷物を重たくしてやろうと決意する。


 冷凍食品売り場へやってきた二人、涼香は冷凍庫ショーケースの中にある、豚まんとあんまんを取り出してカゴに入れる。


 その次はシューストリングポテトと、アスパラベーコン巻きを取る。


「結構買うんですね」

「買い置きするに越したことはない、とのことよ。……アイスを入れる隙間が無いではないの」

「まだ諦めてなかったんですね……」


 涼香はアイスを諦めていないようだが、涼音は既に諦めている。実は涼音の家にアイスはあるのだ。


 それを涼香に言おうと思ったのだが、サプライズとして黙っているのも悪くないと思ったのだ。


「予算もギリギリではないの……‼」


 拳を握りしめる涼香は、アイスの入った冷凍ショーケースの前を顔を背けて通り過ぎる。


 涼音もその後に続いてレジへと向かうのだった。

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